所蔵資料紹介 Vol.10 滑川市公会堂

更新日:2018年02月08日

Vol.10 滑川市公会堂

滑川市民会館大ホール(1.)は、市制15周年の昭和43年(1968)に建設されたものです。大ホールが建てられる前は、滑川市公会堂(2.)という建物がありました。今回はこの公会堂に関する資料をご紹介します。

特に記載のない資料はすべて当館蔵です。

1.滑川市民会館大ホール(平成25年)

1.滑川市民会館大ホール(平成25年)
昭和43年竣工

2.取り壊し直前の滑川市公会堂(昭和42年)

2.取り壊し直前の滑川市公会堂(昭和42年)
画面右手に昭和38年竣工の市役所庁舎が写る

現在、大ホールや市役所、NTTがある一帯は県立滑川高等女学校の敷地でした。戦後の学制改革によって女学校は県立滑川高等学校に再編されたことで、空き校舎には滑川中学校が移転してきました。しかし校舎の老朽化もあって、昭和33年(1958)に現在地の下島へ校舎を新築して移転します。そして再度空き校舎となったところに、市役所が荒町から移転してきました。

3.滑川市役所庁舎と公会堂(昭和33年頃)

3.滑川市役所庁舎と公会堂(昭和33年頃)
公会堂の前を画面右手に抜けると正門(5.)
赤字は注記、以下同

この写真(3.)左手に写る建物が滑川市役所ですが、内部を部分改修しただけですので、外観は校舎そのものです。そして右手に写るのが体育館を転用した公会堂になります。さらしや通りの岩城医院の角を曲がり(4.)、桜並木を抜けると正門(5.・6.)、入って正面に市役所(旧校舎)、右手に公会堂(旧体育館)という配置になっていました。

4.さらしや通り(昭和38年)

4.さらしや通り(昭和38年)
画面左の電柱脇を左折すると5.に続く

5.正門へ続く桜並木(昭和33年頃)

5.正門へ続く桜並木(昭和33年頃)
画面奥が市役所(旧校舎)

6.門柱と桜並木(昭和38年)

6.門柱と桜並木(昭和38年)
画面左下に5.の門柱と桜並木が写る

さて、ここで2.と3.の写真で公会堂の位置関係を見比べてみると、なにか違和感がありませんか。そう、実は建っている場所が違うのです。3.の写真で公会堂がある場所は、現在のNTTの敷地内になります。結論から言うと、公会堂は90度回転させ、東に100mほど曳家〔ひきや〕して現在の大ホールがある場所(2.)へ移設されたのです。曳家とは建物を解体せずにそのままの状態で移動させることで、最近では東京都指定有形文化財(建造物)の赤坂プリンスホテル旧館(旧李王家東京邸)の曳家工事がニュースとして報じられていました。

7.広報なめりかわ(昭和36年6月号)

7.広報なめりかわ(昭和36年6月号)
本記事の添付図が9.

昭和36年(1961)5月、公会堂が建つ場所を含む約3800平米を滑川電報電話局の新局舎用敷地として電電公社へ売却することが決定しました。この時に滑川市は、公会堂を取り壊すのではなく、移設することを選択します。この後、追加更正予算として「公会堂移設」費が盛り込まれ、9月に議会の承認も得て曳家が実施されることになりますが、曳家に関する具体的な様子を伝える資料が見つかっておらず、どれくらいの期間を要したのかは分かりません。ただ、10.の記事や昭和37年3月10日から公会堂を「使用に供します」という記事が『広報なめりかわ』に掲載されていることから、10月頃から冬にかけての時期に実施されたようです。

8.市役所周辺航空写真(昭和36年)

8.市役所周辺航空写真(昭和36年)
旧滑川中学校(女学校)の校舎配置が分かる

9.市役所敷地売却状況図(昭和36年)

9.市役所敷地売却状況図(昭和36年)
公会堂の場所が売却地に入っている

10.広報なめりかわ(昭和36年10月号)

10.広報なめりかわ(昭和36年10月号)
公会堂移設地についての記載がある

公会堂を移設するにあたって、それ相当の土地を確保しなければなりません。そこで、建設課などが入っていた棟を取り壊し、その跡地へ公会堂を移設することになりました。

そして、市制10周年の昭和38年(1963)には、公会堂の横に現在の市庁舎本館が建設されました。

11.住宅地図(昭和38年)

11.住宅地図(昭和38年)
富山県立図書館蔵

12.航空写真(昭和40年)

12.航空写真(昭和40年)
市役所の奥に公会堂と富山県中新川事務所

このように曳家までして残された公会堂ですが、昭和42年(1967)に老朽化のため取り壊され、この跡地及び同41年に閉所した富山県中新川事務所があった地面に、市民会館大ホールが建設されたのでした。

写真には、時間とともに忘れ去られていくような、さまざまな事柄が刻み込まれていることが多分にあります。地域の記憶ともいえるこのような資料を大切に保管し、次の世代へ伝えていくのも博物館の大切な使命の一つです。

(文責:学芸員 近藤浩二 2014年6月16日)

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